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風薫る日に
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やっとこの町にも訪れた 遅く短い春。

私たちは 少し風の冷たい 5月のある日を
その 遅く短い春を味わう為の日に決めたんだ。




少しだけいつもよりもはりきって目覚めて
少しだけ 大袈裟にカーテンを開け
少しだけ鼻歌まじりに お弁当を作った。

悩みに悩んで訪れたその場所は 
その日 その場所で桜が咲いているという確信もなければ
もちろん花見の名所でもない ある大きな塔のある公園。

予想通り そこにあったのは 大きな塔だけで
あとは 駆け回る子供たち それから
緑の芝生が まるでどこまでも広がっているようなそんな場所だった。

やっぱり桜はないね なんて諦めかけたそのとき
だだっ広い草原に ぽつり一本の桜。

決して大きくはない 桜の木だったけれど
草原にたった一本空に伸びるその桜は 

ほんの少し寂しそうで だけれどとても力強く 美しかった。 
空へ 細くしなやかに その枝を伸ばしていた。

思わずもれる 贅沢な溜息。

そんな桜の木の下で 私たちは 穏やかに 緩やかにただ
遅く短いこの春を 味わうことにしたのだ。


まだすこし冷たい 風薫る 春の日に。





 
by miido | 2009-05-08 20:08 | 日常
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